人が変わる
何かに気づくのは
どんな時なんだろう。
ターニングポイントなどどいいますが
私は子どもとの関わりを通して
気づかされる事が多々あります。
今年十月
母が亡くなる少し前
『アジャセ物語』という絵本を読みました。
仏教書(宗教書)の部類です。
私はスピリチュアルなものとしてではなく
この類いの本を
実用書として
たまに読んでいます。
「困ったなぁ」とか「ちょっと、しんどいなぁ」
という時です(笑)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ブッダ(お釈迦様)がこの世に生きていた時代のお話しです。
インドのマカダ国の都オウシャ城に
アジャセという名前の王子がいました。
父親のビンサーラ王と母親のイダイケは
跡継ぎの子どもができないことに悩んでいました。
占い師に、山で修行している仙人があと3年で亡くなる。
その生まれ替わりが王子になるから
3年待ちなさい、と告げられます。
にも関わらず、王は仙人を殺してしまい
替わりにアジャセが生まれます。
占い師は
殺された仙人のうらみから、
王は王子に殺される
と予言します。
王は恐ろしくなって王子を殺そうとしますが
小指を失っただけで王子は生きながらえます。
アジャセ王子が17歳になった時
小指のない理由を
策士ダイバダッタから知らされ
怒りを抑えられない王子は
父親のビンサーラ王に残虐な方法
食べ物を与えず、足首を切り落とし幽閉します。
そして王子は王の位に就いてから過虐性を増していきます。
アジャセにはウダヤという子どもがいました。
この子が身体全体に痛みとかゆみを伴う発疹ができ
苦しみます。
(現在でいうアトピーみたいなものでしょうか)
アジャセは何とか治してやりたいと
必死の思いで膿を口で吸って吐き出してやります。
その様子を見たアジャセ王の母親イダイケは
父親のビンサーラ王が
かつてアジャセが幼い頃に同じ発疹ができ
同じようにしてやっていた、と話します。
この瞬間、アジャセは
自分は父親に愛されていたのだと知り
間違えに気づきます。
急ぎ父親を牢獄から出そうと駆けつけるのですが
既に亡くなっていました。
深い罪悪感を抱えながら、ブッダに救いを求める
というのがおおまかなストーリーです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私がこのお話の中で
最も興味深かったのは
自分の子どもに持つ愛情と
同じ愛情を
かつて父親から受けていた事を知り
その追体験をした時に
恨みや怒り、固く冷たい心が溶けたことです。
子どもの病気の苦しみを
少しでも早く取り除いてあげたい
必死な想い。
自分がしたように
父にされていた。
2500年ほど前のお話ですが
現代に生きる私の心にも入ってきます。
「育てさせて頂いてる」
とまで我が子について
謙虚にはなれませんが
謙虚になれない私が親として人として
少しでも成長できるきっかけを
子ども達はつくってくれているようです。
不完全な人間が子どもを与えられ
親となり
親として学び育てられてる
縁あって親子
です。