『Haptic(ハプティック)〜触って感じて絵を描こう!』
先月(2010年4月)大阪西天満にあるYODギャラリーにて
北川一成氏(Graph代表)のお話を聴く機会がありました。
デザイナーとして活躍しているさなかに
酷使した左目を失明し、人工レンズで回復されたということです。
人間の体、それも目が人工物で再生できる事に感心しましたが
何より、人間の脳が色彩を認識している、判断しているという経験談に
興味を覚えました。
私が子どもの頃「他人の気持ちになってみなさい。」と亡くなった父によく言われました。
けれども他人にはなれないので、理解できないに決まってるでしょ、と心の中でつぶやいていた事を思い出します。
「目が見えない人の気持ちになって。」とか
「食べられない人がどんな思いか想像してみなさい。」と大人はいいます。
先の北川一成氏のような「思い」は大切に伝えたいけれど
我が身に置き換えて想像する事は、
特に子どもには困難です。
「見える」ってどういくことだろう?
「触る」ってどんなこと?
ゲーム仕立てのカリキュラムで
子ども達にどんな風に感じてもらえるかトライしてみました。
教室に入ると黒い何やらが5つ並んでいます。
導入の絵本は『闇の中の猫』
暗闇だから、本当の猫の色は最後迄わかりません。
5つ、それぞれに「何か」が入っています。
このなかのモノを、しっかり触って絵を描こう。
約束は
中をのぞいてはダメ。
友達と情報交換しない〜自分の手で確かめる
この2点です。
5つの中身は
音の出るモノ
ごつごつしたモノ
片手で握って何となく分かるモノ
びちゃっとしたモノ
これ知ってる、というモノ
鉛筆で描きます。
見えないけれど、こんな色かな?
色鉛筆で彩色もします。
そして「オープン(正解)タイム」
何故かみんな、改めて触っていました。
締めくくりに、じっくり見て描こう。
幼稚園、低学年の子は、割とあっさり描いて外遊びに出ましたが
高学年〜中学生は安心したのか
時間をかけて集中して描いていました。
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奇想天外なモノづくりをできる科学者やアーティストがあります。
それはそれで、すばらしい想像力です。
他の人の気持ちがわかる事、
自分の心も大切にすること。
こうしたら、どんな風になるんだろう?
思いをめぐらすこと。
身近なことだけれど、
生きていく上で必要な想像力なのではないかと考えています。